建築士会は、以下のような資格を持つ会員の皆様で構成されており、仕事としては様々なことに携わっておられる会員の皆様で成り立っています。
専門知識を生かした様々な社会貢献活動を行い、ひいては建築文化の振興に寄与しておられるんですね。
活動は多岐にわたりますが、例えば文化財保護にあたるの府市町村の部局とともに京都の近代建築の価値を見出し、その活用を行い、また日本の伝統的な建築様式である木造建築の勉強会などを開催し、新たに木造建造物を建てられるよう法改正などを呼びかけています。他にも、京都市と協働して京町家を残せるよう政府に促すなど、文化的建造物の保護活動もされています。
今回ご紹介するハート&ハード研究会は、1995年京都府で「福祉のまちづくり」条例が出た時に研究会として発足しました。行政に対し条例についての提言や、改善のための意見陳述などの活動をされています。
寺社仏閣を思い浮かべていただけると、イメージしやすいかもしれませんが、本堂の前の高い階段や砂利敷きの長いアプローチ、段差があちこちにあるなど、実は障害者の方には気軽に訪れることが難しい場所なのかもしれません。
でも実は随分、こういった場所のバリアフリー化は進んできているのです。一つ例を見てみましょう。
いかがでしょうか?例えばスロープのために建物を新設されたということをお聞きすると、障害者の方にアクセスしにくい、というイメージも少し変わってきますね。
伝統建築も時代に合わせて変化をしており、建てたままの形で残っているものはほとんどありません。ですので、今行っているバリアフリー化も100年後には「伝統建築の一部」になっているはずです。また京都は日本の中でも有数の観光名所で、毎日日本各地や世界各国からたくさんの人が訪れています。もとより寺社仏閣は様々な人を受け入れる素地のある施設ですので、いろいろな人が来やすい施設にしていくことも必要です。文化財保護法に則って、復元可能かつ風格を損なわないデザインでバリアフリー化を進める活動を推進しておられます。
バリアフリーの考え方は深化しています。例えば、車椅子を利用している方でも、それぞれできることや動ける範囲が異なります。スロープの角度や手すりの有無など、それらの客観的な情報があることで「それならここもいける。」と判断することができ、訪問できる範囲がグッと広がります。ハート&ハード研究会ではこのパーソナルバリアフリーの考えに基づき、こうした情報を寺社ごとにまとめた資料の作成に取り組んでいます。
同様に、宿泊施設のバリアフリーについても客観的なデータ収集を進めています。各部屋や施設ごとの詳しい情報をまとめてweb掲載する計画で、京都市と連携することを目標にしています。情報を見た方が、その方が宿泊できそうな施設を自身で判断できるようになるため、地域活性化にもつながるのです。
バリアフリー条例ができた25年前と比べ、バリアフリーはどんどん進化しています。しかし、ほとんど変わっていない場所が未だ多くあることも事実です。
バリアフリーは、放っておいても自然にできるものではありません。また「それが使えるものである」という情報が発信されていなければ、利用する方の数も自然と少なくなります。
「バリアフリー化しようと思って進めたわけではない。一人でも多くの人に参拝してもらいたいということを繰り返してきたらバリアフリーになっていた。」というある寺社の方の言葉が印象的でしたが、なるべくたくさんの人に参拝していただきたいという思いがあれば、アイデアは必ず出てきます。一つ一つ丁寧に、その場所にあったものを作り出していきたいというのが、京都府建築士会の想いです。
ホテルや旅館などを含む、ある一定以上の大きさの施設に対し、バリアフリーにアクセスできるように義務付ける条例です。従来では出入り口からホテルの中に入り、一室に行くまでがバリアフリー化されていることが条件でしたが、全室で最低限のバリアフリーを実現させることが必要になりました。(これは新しい建物について適用されるものなので、既存の施設には適用されません。)高齢者の方々が使いやすいものになると、平日でも京都にお越しいただけるようになります。